海は大荒れ
一方、インフラの早期復旧に向け 暴風域の中 当社の社員は黙々と
来るべき復旧作業に備え、最接近する直前まで 土嚢作りを行っていた。
この時期に、社員を送ってくれた家族には本当に感謝したし、
文句一つ言わず ときには冗談を交わしながら重労働をこなしていた
社員達。
風雨の中であったが、 私には、 光った 宝物 に 見えた。
そういえば、この”宝物”の中に、新人君の姿もあった。
彼は、7月に入社したばかり。
某有名私立大を出て、司法試験を受験すべくこれまで勉強をやっていた。
あることがきっかけで、当社の新規事業分野の専任者としてやってもらうことに
なった。
確かに、飲み込みが早い。仕事も早い。
そんな彼に、私は躊躇せず、今回の災害対応のための作業従事を命じた。
彼は結構動いていた。
帰りに、「どうだった?」
と聞くと
「いや?、体を動かすっていいすね。」
と笑顔。
ほんとに、私は 社員に恵まれている。
ついでに、ひとつ いい話。
上記の作業中、休憩を15分ほどとった。
そんなとき、どこから買ってきたのか、栄養ドリンクを配ろうとする社員。
「あ! 気遣いが足りなかった」と 悔んだが、
その入手先を聞くと、
「作業御苦労さまです。 と言って、あそこの家の奥さんが持ってこられました」
とのこと。
あの風雨の中で、ドアをシャッターで閉めきっているかのように見えたが、
見てくれている人は 見てくれている。
こういった方の目が 業界を支えてくれるのだな と感じたときだった。